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土地活用・施設運営公開 2026.10.28

ピックルボール×モール活用|SM108面の展開に学ぶ

ピックルボール×モール活用|SM108面の展開に学ぶ

フィリピンのSMが33モール108面へ広げたピックルボール。貸切と個人参加の料金例、大会、コミュニティ施策を公式資料で整理し、日本の商業施設が企画を検討する際の着眼点を紹介します。

この記事でわかること
  • 貸切と個人参加を別の商品として考える視点
  • 大会・登録者数・購買効果を混同しない読み方
  • 国内で試す前に決めたい目的・費用・指標

33モール108面へ広がったSMのピックルボール

SMの事例で注目したいのは、コート面数だけでなく、貸切・個人参加・イベントという異なる利用の入口を用意していることです。

フィリピンの商業施設ブランド、SM Supermalls。SM Primeが2026年10月23日に発表した資料では、SM Pickleballは33モールに108面を展開しています。SM City East Ortigasでは9月25日に6面が開業し、家族や同僚などで専用利用できるプライベートコートも紹介されています。予約・問い合わせ先にはReclubが案内されています。

これは同社の発表に基づく展開規模です。108面という数字から、コートの採算や館内店舗の売上増まで読み取れるわけではありません。この記事では、確認できた利用制度とイベント施策を整理し、日本の商業施設で企画を考える際の検討点につなげます。現地取材ではなく、公式資料をもとにした事例紹介です。出典:SM Prime(2026年10月23日)

料金は「コートを借りる」と「一人で参加する」を分ける

公表された料金例では、時間単位のコート貸切と、人単位のオープンプレーを別の商品として案内しています。

次の表は発表当時の条件です。全108面に共通する料金でも、2026年10月現在の料金表でもありません。フィリピン・ペソ建ての事例であり、日本での推奨価格として使わないでください。

対象・資料の発表日

コート貸切

オープンプレー

資料で確認できた条件

Sta. Mesa・Bicutan・Marikina/2025年5月2日

1面1時間450ペソ

1人250ペソ

各施設4面の常設コートとして紹介

Four E-Com Center/2026年5月5日

1面1時間600ペソ

1人280ペソ

6面、営業時間10〜23時、パドルレンタル100ペソ

出典:SM Prime・常設3施設の案内(2025年5月2日)/Four E-Com Centerの案内(2026年5月5日)

Four E-Com Centerはオフィス開発内の関連事例で、商業施設3拠点とは立地条件が異なります。同施設の発表では、SM Tickets、Reclub、当日受付が利用方法として示されています。会員向けの施策と、コートの予約・決済方法は同じとは限りません。「予約をすべて自社アプリに集約している」とまとめるのは避ける必要があります。

編集部が参考にしたいのは、仲間と場所を確保したい人と、個人でプレー機会を探す人を分けている点です。日本で導入するなら、申込単位だけでなく、対戦相手の調整、初心者への説明、用具貸出が含まれるかまで示します。オープンプレーという名称だけで、レッスンや初心者専用枠だと思わせないことも大切です。

スポーツを続ける接点を、施設とイベントでつくる

SMは通常利用に加えて、スポーツの交流や大会を施設内に設ける方針を示しています。ただし、投資額とピックルボールの成果は別の数字です。

2026年10月2日の公式発表にある10億ペソの投資は、全国の多競技施設や交流拠点を対象とする計画です。ピックルボールだけに投じる金額ではありません。同発表は初心者から経験者までを対象とし、オープンプレー、講習、大会などの機会を紹介しています。出典:SM Prime・多競技施設への投資発表(2026年10月2日)

ここから「コート単体の利益を重視していない」「低価格で来館数を稼いでいる」と経営方針まで断定することはできません。今回確認した資料では、投資回収期間、各施設の稼働率、プレー後の購入額は確認できていません。

編集部の提案は、常設コートとイベントを別々の担当案件にせず、参加者が次に選べる機会として並べることです。初回の体験、通常の交流枠、仲間での貸切などを案内し、それぞれの対象と提供内容を説明します。無理に会員登録へ誘導するのではなく、必要な予約情報と、希望者が受け取る継続案内を分けて設計します。

大会とコミュニティの数字は、対象をそろえて読む

大会の開催計画と、コミュニティ全体の登録者数は、コートの利用実績とは分けて扱います。

SM Primeの2026年4月22日の発表では、SM Active Hub Pickleball Trio Challengeを、予選5回と決勝1回で展開する計画が紹介されました。3人チームに女性を最低1人含む形式で、参加費は1チーム5,700ペソ。協力先としてPaloo、Sports Central、Milo、Nature’s Spring、Picklecrew PHなどが挙げられています。ここで確認できるのは企画内容と告知時の参加条件であり、全日程の実施結果や集客実績ではありません。出典:SM Prime・大会計画(2026年4月22日)

一方、2026年2月26日の公式発表は、全国のピックルボールコートやランニング拠点を含むSM Active Hubについて、10万人超の登録参加者を報告しています。これはピックルボールだけの会員数ではありません。登録者数を、実際にプレーした人数や再参加者数に置き換えることもできません。出典:SM Prime・2025年の事業活動に関する発表(2026年2月26日)

施設、コミュニティ、協力企業が関わる仕組みは参考になります。ただし、協力先の名称があるだけでは、提供内容や契約条件、施設側の営業・調整コストは分かりません。商業施設で応用する際も、「協賛があるので低コストで運営できる」と先に収支を決めないことが重要です。

日本で参考にするなら、面数より先に企画の目的を決める

SMと同じ規模や価格を目指すのではなく、商業施設として検証したい問いを一つ決めることが出発点です。

以下はSMの実施マニュアルではなく、PICKLY編集部による検討案です。来館のきっかけづくり、近隣住民の継続利用、企業向けの交流イベントでは、必要な運営も成果の見方も変わります。

企画の目的

先に決めること

確認する指標

初めての参加を増やす

体験対象、説明担当、貸出品、申込と当日受付の区分

申込数、実参加数、初心者の参加割合、受付で多かった質問

日常の利用を増やす

貸切と個人参加の枠、開催条件、案内する次回日程

枠別の利用率、再参加数、取消数、スタッフの対応時間

店舗との接点をつくる

協力店舗、特典の内容、利用記録の方法

特典利用数、対象店舗への立ち寄りなど取得できる記録

参加者が増えても、店舗への立ち寄りを記録していなければ回遊効果は分かりません。売上が上がった場合も、他の催事や季節、曜日の違いを考慮します。小規模な試行では、まず参加者の行動と運営負担を把握し、因果関係を急いで結論付けないことが重要です。

協賛や設置場所は「使えるはず」で進めない

既存テナントとの連携や屋上の活用は候補になりますが、費用も調整も不要になるわけではありません。

編集部の提案として、協力先には賞品提供、用具の試打、イベント告知など、依頼したい役割を具体的に示します。提供するもの、受け取る露出、当日のスタッフ、設置と撤収を分けて確認し、既存の取引関係だけで参加が決まるとは考えないようにします。

会場も、コートの線が収まれば実施できるとは限りません。通常営業への影響、床面や建物の条件、通行・避難経路、音やボールの対策、運営中の責任分担を施設管理者や必要な専門家と確認します。既存の屋上・駐車場をそのまま転用できるという意味ではありません。

費用はコートやネットだけでなく、会場整備、用具、スタッフ、受付・予約、保管、清掃、告知、原状回復まで分けて見積もります。常設に進むかどうかは、需要だけでなく、この運営負担を含めて判断するのが現実的です。

まとめ:海外事例を、そのままの成功モデルにしない

SMの展開から学べるのは、場所を用意するだけでなく、異なる利用の入口とスポーツを続ける機会を組み合わせる視点です。

一方、海外の料金や投資規模を、そのまま日本での採算や集客効果に置き換えることはできません。施設の目的に合わせた企画をつくり、実参加、再参加、運営工数、店舗との接点を分けて確かめましょう。

商業施設・企業・自治体でのピックルボール体験会や交流イベントをご検討の方は、PICKLYの企業・自治体向け活用支援をご覧ください。企画から当日の運営、会場・講師・用具の手配について相談できます。

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