
ニセコの夏季営業と選手による体験企画を手がかりに、通常利用へのつなぎ方、スタッフ配置、荒天対応を整理。施設全体の集客とコート単独の成果を分けて考えます。
- 通常営業と特別企画を分けて運営を設計
- 季節のカレンダーにスタッフと告知を配置
- 施設全体の集客とコートの利用実績を区別
冬に強い施設が、夏にも訪れる理由をつくるには。ニセコ東急 グラン・ヒラフの2026年の取り組みには、ピックルボールの通常営業に体験企画を重ねる運営のヒントがあります。施設オーナー向けに、公表された事実と、自施設で試す際の設計ポイントを分けて整理します。
ニセコで実施されたのは、コートと体験企画の組み合わせ
営業期間中の通常利用メニューに加え、連休には選手が関わるプログラムが実施されました。
東急不動産が2026年10月23日に発表した資料では、同年新設のコートを使い、9月19〜23日のシルバーウィーク企画でプロ選手による体験・コーチングやエキシビションマッチを実施したと報告されています。これは開催予定ではなく、実施後の発表です。出典:東急不動産の発表
施設公式ページには、2026年7月4日〜11月3日の営業期間、1面60分1,500円・ラケットとボールのレンタル込み、ALPEN NODE受付で当日申込みという通常利用の仕組みが掲載されています。ここで参照するのは2026年の運営条件であり、来季の継続や現在の空き状況を示すものではありません。出典:公式ピックルボール案内
編集部が着目するのは、設備の新設と、参加のきっかけをつくる企画が併存している点です。自施設への応用では、貸しコートとしての営業と、初心者を迎える時間を別々に設計すると、必要なスタッフや費用を整理しやすくなります。
「来場者5万人超」をピックルボールの成果にしない
公表された集客・満足度の数字は、リゾート全体の指標です。
同発表では、2026年グリーンシーズンの延べ来場者数が5万人を超え、昨シーズンから倍増したとされています。来場者アンケートの総合満足度81%、再来訪意向97%も、ピックルボール利用者だけの調査ではありません。ゴンドラや飲食、複数のイベントを含む取り組み全体の数字として読む必要があります。出典:同発表「成果と今後の展望」
この発表からは、ピックルボール単独の利用人数、売上、運営費、投資回収期間までは分かりません。したがって、同じ設備を置けば集客が倍増する、という判断には使えません。次の試行設計と測定方法は、発表元の実績ではなく編集部の提案です。
夏の運営カレンダーに組み込みたい4つの条件
営業日、担当者、荒天時の扱い、既存用途への影響を一枚の計画にまとめます。以下は、夏の営業を検討する施設オーナー向けの提案です。
1.通常利用と体験会を時間帯で分ける
まず「誰に、いつ使ってほしいか」を決めます。滞在客向けの短い体験と、経験者向けの貸しコートでは、説明時間も交代方法も異なります。試行期間を区切り、体験枠の長さ、定員、通常利用への切り替え時間を設定しましょう。連休だけの結果を平日の需要に置き換えず、曜日・時間帯別に記録します。
2.受付と指導を同じ仕事として見積もらない
受付、用具の受け渡し、ルール説明、プレーの見守り、撤収にはそれぞれ時間がかかります。既存の受付で兼務できる範囲と、別の担当者が必要な範囲を分けます。選手や指導者を招く場合は、謝金だけでなく交通・宿泊、準備、キャンセル時の条件も確認項目に入れてください。ニセコの人員配置や契約条件が公表されているわけではありません。
3.天候による中止判断と案内先を決める
屋外で試す場合は、雨天、強風、路面状態などの確認担当と判断時刻を決めます。中止の伝達方法、支払済み料金の扱い、代替体験を用意できるかも事前に整理します。代替会場がないのに「雨天でも開催」と告知しないことが重要です。これらは自施設で定める項目で、同リゾートの中止基準を示すものではありません。
4.体験会の後に使える通常枠を残す
体験会で興味を持った人が、その後いつ利用できるかまで案内できるようにします。指導者を招く日だけ賑わっても、翌週の受付方法や用具貸出が分からなければ、次の利用を判断できません。通常営業の曜日・時間、料金、申込み先を一緒に伝えましょう。観光客の一回利用と地域住民の再利用は分けて考え、目的に応じて体験枠を配置します。
開業前の準備、夏休みや連休の体験企画、通常利用、シーズン終了後の振り返りを同じカレンダーに載せると、指導者の手配や告知が必要な時期も見えてきます。他のアクティビティと組み合わせて案内する場合は、各サービスの営業日と終了時期を個別に確認し、同じ日に利用できるものだけを紹介します。設備の新設・転用については別途、路面の安全性、歩行者との動線、球の飛び出しや音への配慮を確認します。
継続判断には「何人来たか」より一段細かい記録を
使われた時間と、そのためにかかった費用・工数を同じ期間で比べます。次の記録項目は編集部の提案であり、ニセコの実測値ではありません。
見る項目 | 記録方法の例 | 判断できること |
|---|---|---|
コートの利用率 | 実利用コート時間 ÷ 提供可能コート時間。荒天で提供できなかった時間は別記 | どの曜日・時間帯に利用が集まったか |
体験から通常利用への移行 | 体験人数と、その後の有料利用人数を区別して記録 | 体験会が次の利用につながったか |
運営負荷 | 受付・説明・設営・撤収にかかった延べスタッフ時間 | 既存業務と無理なく両立できるか |
試行期間の収支 | 利用料などの収入から、指導・人件費・用具・設営等の対象費用を差し引く | 初期投資と日々の運営費を分けて継続を検討できるか |
体験者の追跡には、本人に説明した任意アンケートなど、必要以上の個人情報を集めない方法を選びます。飲食などへの波及を見る場合も、通常日の売上との差だけでピックルボールの効果と断定せず、天候や他のイベントの影響を併記しましょう。
試行前に「継続する条件」「時間帯や人員を変えて再検証する条件」「中止する条件」を決めておくと、盛況だった一日の印象だけに左右されにくくなります。収支の目標値は、施設ごとの固定費や目的に合わせて置く必要があります。
次の夏に向けて、設備と運営をセットで検討する
ニセコの事例は、コートに体験の入口を重ねる発想を検討する材料になります。一方で、自施設に合う料金、スタッフ配置、営業日数まで答えが出ているわけではありません。まずは利用者像と提供できる時間を定め、運営費を含めた試行計画に落とし込むことが次の一歩です。
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